2001/12/27(木)
■ 殊能 将之「鏡の中は日曜日」★★★★☆
講談社ノベルス 2001/12/18(火)入手 2001/12/27(木)読了
現実の名探偵水城優臣が10年以上前に解決したはずの事件の、再調査を頼まれた石動戯作。調査を進めていくうちに石動はいくつかの不審点を見つけだしていくが、調査の途中で石動は殺人事件の被害者になってしまった……。
もはやこの人はふつうの話を書く気はないんかいなと「黒い仏」であきれ、そして今回も上記のような展開なもんだから、色物ミステリー作家としてのポジションを狙っているのだろうかとさらにあきれたんだけど、最後まで読んだら、ごくごくふつうによくできたミステリーだった。もしかして前作のあのオチは撒き餌か? あれでああいうオチを使ったから、今回も無茶な話にするのかと思わせるのが目的か。長編一冊使ってメタなレベルで伏線を張っていたんだったらすごいな。
■ 栗本 薫「アウラの選択 グインサーガ(82)」★★★☆☆
ハヤカワ文庫 2001/12/18(火)入手 2001/12/27(木)読了
レムスにつれられ、すっかり変わり果ててしまったクリスタルに乗り込んだグインは、レムスそしてヤンダル・ゾックとさらなる対話を交わす……。
前の巻からこの巻にかけてはナリスが出ないんで、ふつうに面白い話だった。でも、もはやうろ覚えの「七人の魔導師」にちゃんと接続できるようになっているとは思えなくなってきた。グインがこの段階でこんなにヤンダル・ゾックと言葉を交わしてしまっていいんだろうか。まあいいや、もう過去のことは忘れて、これからのストーリーだけ追うことにしよう。いやになるまで。
■ 森 博嗣「女王の百年密室」★★★☆☆
幻冬舎 2001/12/12(水)入手 2001/12/27(木)読了
未来。お手伝いロボットとともに荒野で道に迷った“僕”は、ネットワークから切り離された不思議な街にたどり着く。そこは女王が統治する楽園。犯罪という概念すら存在しない場所。そこで殺人事件が起こる……。
ミステリーというよりは、ミステリー仕立ての哲学系SFといった感じ。森博嗣のミステリーを期待して読み始めたんで、ちょっと裏切られた気分になったりもしたんだけど、こういうSFっぽい話自体は嫌いじゃない。
もっとハードSF方面に向かっても良さそうなネタなんだけど、ストーリー的にはやたらとエンターテインメントしていて読みやすかったりするんで、ネタの割には一般受けしやすそう。俺はこういうネタならば、もっとハードSFっぽくぐだぐだ思考の海に溺れていく方が好きだけど。
■ 浅田 次郎「プリズンホテル 4 春」★★★★☆
集英社文庫 2001/12/04(火)入手 2001/12/27(木)読了
名誉ある文学賞の候補となった孝之介。作家としての成功の頂点を極めようとしているそのとき、義母富江は姿を消した。混乱する孝之助。もしやと思いプリズンホテルまでやってくるが富江の姿はない。自分を捨てた実母のいる場所で、突然姿を消した、今まで嫌い続けてきた義母のことを思いながら、孝之助は受賞作が決定するまでの長い一日を過ごす。いつものようにさまざまな訳ありの人々が集う場所、プリズンホテルで……。
話としては3巻の方が好きだったな。もちろん今までのシリーズ同様の笑いと泣かせはちりばめられていて、十分に面白いんだけど、シリーズ全体としての大団円に入っちゃったんで、あまのじゃくな俺としてはあんまりストレートな展開にちょっと引いてしまった。
2001/11/29(木)
■ 筒井 康隆「旅のラゴス」★★★★★
新潮文庫 2001/11/29(木)入手 2001/11/29(木)読了
転移(テレポーテーション)や同化(テレパシー)といった能力の存在以外は、地球の中世を思い起こさせるような異世界。ラゴスは、遠い昔に宇宙船でこの世界にやってきたと伝えられる祖先たちが残した書物を求め、長い旅を続けていた。盗賊に襲われ、奴隷にされ、逃げだし、勉学に励み、王様になり……。さまざまな人との出会い、事件との遭遇を経て、ラゴスは故郷へと戻り、そして再び旅に出る……。
筒井康隆後期の傑作。「虚構船団」と同じようなテーマを、エンターテインメント性の高いファンタジーSFという枠の中で再現している。非常に深いテーマを持ちながらも、単純に面白い話となっている。
筒井康隆は昔から、人が普段表に出さないでいる心の動きを、赤裸々に描き出すことを得意としている。初期の頃は青年期の心理をよく描いていたが、自身の年齢の変化とともに、中年から老年期の心理のひだをねっとりと描くような手法が多くなってきた。
この旅のラゴスでは、主人公のラゴスは20代半ばから70歳を越えるまで旅を続ける。もともと都会の学究の徒として理性を信奉して生きてきたラゴスは、若い頃から老成した人物であったが、それでも年齢とともに心理のひだの数は増えかつ深くなっていく。
そして、虚構船団でも描かれていた、人類の歴史というもの全体を俯瞰する視線。
筒井康隆の小説の中で一冊選べと言われたら、私はこれを選ぶ。
2001/11/28(水)
■ 京極 夏彦「今昔続百鬼−雲 冒険小説」★★☆☆☆
講談社ノベルス 2001/11/19(月)入手 2001/11/28(水)読了
民間の妖怪研究家多々良センセイと沼上の二人が、妖怪に関する調査の旅に全国を巡りつつ、様々な事件に遭遇していく連作集。最後の話には京極堂もでてくる。
京極堂のうんちく話は結構好きなんだけど、妖怪方面に特化しすぎた多々良センセイのうんちく話は長いときついな。この主役たちの話ならば、分量は半分くらいじゃないと楽しめない。
2001/11/27(火)
■ 島田 荘司「Pの密室 御手洗潔の幼年時代」★★★☆☆
講談社ノベルス 2001/11/19(月)入手 2001/11/27(火)読了
御手洗潔、五歳のみぎりのされこうべ。じゃなくて、小学生の頃の御手洗潔の事件簿。こういうシリーズものの過去設定を深めるような話は、シリーズファンにとってはそれだけで十分おもしろい。内容は、まあふつう。
2001/11/22(木)
■ 夢枕 獏「陰陽師 飛天ノ巻」★★★☆☆
文春文庫 2001/11/19(月)入手 2001/11/22(木)読了
晴明、博雅コンビの2冊目。1冊目と感想変わらず
■ 夢枕 獏「陰陽師 」★★★☆☆
文春文庫 2001/11/19(月)入手 2001/11/22(木)読了
安倍晴明と源博雅がさまざまな怪異に出会う短編集の一冊目。ときどき本屋で見かける気色悪い「月刊晴明」みたいなのの発端となったのがこれなのかな?
久しぶりに読んだ夢枕獏は、かすかに記憶に残るキマイラ風味の文体が懐かしかったり。基本的にはこういう改行多めの文章って嫌いなんだけど、夢枕獏のリズムを作るための改行多用はそんなに嫌いじゃない。
で、内容は予想していた伝奇ホラー系統ではなく、地味に風雅な怪異話だった。わざと定型パターンを多用しているあたりも、いかにも古文の時代のお話って雰囲気がでている。
すごく面白いってものじゃないけど、雰囲気がいい感じ。映画化されているらしいけど、小説よりも映画の方が面白そうだ。マンガの方はどうなんだろう?
■ 夢枕 獏「陰陽師 付喪神ノ巻」★★★☆☆
文春文庫 2001/11/19(月)入手 2001/11/22(木)読了
晴明、博雅コンビの3冊目。1、2冊目と感想変わらず。
2001/11/20(火)
■ 森 博嗣「そして二人だけになった」★★★☆☆
講談社 2001/11/19(月)入手 2001/11/20(火)読了
盲目の天才科学者とその女性アシスタント。そして、その影武者たち。A海峡大橋に作られた極秘シェルターのテストのため、他の科学者4人を含む計6人が外部とは隔絶された施設で4週間を過ごすことになり、そして次々と人が殺されていく。同時に行われた破壊工作によって、外部との連絡は取れない。あまりにも限定された状況下での連続殺人。そして、二人だけに……。
森博嗣らしさ全開の話だな。キャラクターといい、状況といい。結構好きな話。ただし、2回のどんでん返しの1回目で終わって欲しかったな。まああれだと細部のリアリティが薄いからっていうんで、それをうち消す可能性の提示としての2回目のどんでん返しも用意したんだろうけど、さすがにあれを夢オチにされちゃうのはねー。どちらかというと2回目の可能性を提示しつつも、やっぱり1回目の方が可能性が高いかな、くらいにしておいて欲しかった。
2001/11/19(月)
■ 西原 理恵子「西原理恵子の人生一年生」★☆☆☆☆
小学館 2001/11/19(月)入手 2001/11/19(月)読了
あちらこちらで話題になっていたんで、久しぶりに西原理恵子のマンガを買ってみたけれども、こりゃひどいな。一応「西原を大ブレイクさせる」ってのがテーマなんだろうか。今までにも比較的ぐちゃぐちゃな勢いで作ったようなマンガはあったけれども、一応最低限のまとまりはあった気がする。ここまで低レベルなネタを適当に詰め込んだようなのは初めてじゃないか。
にじむ (2001/11/19 15:28)
私はまだぱらぱらとしか見てないんですけど夫(サイバラ好き)曰く「見るに耐えない。よほどのサイバラ好きじゃないと読めないんじゃないか」って話だったし、私もチラッと見ただけで悪乗りしすぎだと思いましたですよ。悪いエキスが悪い方向に出ちゃってるっていうか…
いしなお (2001/11/20 13:42)
よほどのサイバラ好きでも、あれはどうなんでしょうねー。でもネットでは結構ほめている人もいたから、あれもありなのか。
結婚して子供ができてからのサイバラの活動って全然知らないんだけど、その間にああいう風になっちゃったんでしょうかね。で、今もサイバラが好きな人は、ああいうノリが好きなのかな。俺はまあじゃんほうろうきの中盤の頃がピークなんで、今のノリは全然ダメだ。
■ 鈴木 みそ「アジアを喰う 8ケ国ゆらゆら喰って寝るッ! 夫婦で放浪!402日」★★★☆☆
双葉社 2001/11/19(月)入手 2001/11/19(月)読了
毎日毎日連載マンガを書き続ける日常に疲れた鈴木みそが、小金を持って夫婦で1年間アジアをだらだらと放浪したときの話。よくあるアジア放浪記ではあるんだけど、それなりに鈴木みそ風味なんで、鈴木みそ風味が好きな人には面白いと思う。俺もまあまあ好き。ただ、この手の本の中で特に秀でているものというわけでもないとも思う。
2001/11/17(土)
■ 乙一「石ノ目」★★★★☆
集英社 2001/11/01(木)入手 2001/11/17(土)読了
地元に伝わる、目を見ると石にされてしまう妖怪“石の目”の話。幼い頃母がそこで消えたといわれる山に入った男は遭難し、たくさんの人の形をした石に囲まれて建つ家と、そこに住み決して顔を見せようとしない老女に救われる。本当に彼女は“石の目”なのか? そして、母もまた家を囲むたくさんの石像の中で石となっているのか?
という表題作を含む3編。暗黒童話を先に読んじゃったけど、暗黒童話のスタイルはだいたいこのころに完成したのかな。なんだかちょっと奇妙な感触があるホラーファンタジー。単なるホラーでもファンタジーでもなく、どこかねじれているような感触が好き。
乙一って、ストーリーのパターンとしては、比較的予想しやすい転を持ってくることが多いんだけど、たとえ予想通りだったとしても読んでいて面白いのは、語り方がうまいからか。
2001/11/16(金)
■ 乙一「暗黒童話」★★★★★
集英社 2001/11/01(木)入手 2001/11/16(金)読了
人の言葉を話すことができるカラスが出会った、目の見えない女の子。眼球のない彼女のために、カラスはさまざまな人々の眼球を集めてくる。その眼球を自分の目の空洞に入れると、彼女にはその持ち主が見た光景が見えるのだ……。
という童話と重なり合うように、実際に事故で眼球を失ってしまった一人の女子高生がいた。事故のショックでそれまでの記憶を失ってしまった彼女は、記憶を失う前とは全く違った性格になってしまったようだった。
そのうち裏のルートで入手した眼球の移植手術を受けた彼女は、移植された左目が持つ記憶の光景を見るようになる……。
タイトル通りブラックなファンタジー。味付けはホラー&ミステリー。キャラクター造形は従来の乙一らしい繊細さ。とても趣味がいい。蘊蓄話のない京極夏彦的というか。
今まで読んだ乙一は面白いことは面白いんだけど、あんまり長い話を書かなかったせいか、いまいちインパクトが弱い感じがしていた。でも、この暗黒童話は今までよりも格段と長くなったけれども薄めている感じはない。ちゃんと密度はそのままに長くなっている。
これからももっと長編を書いてほしいな。
2001/11/14(水)
■ 乙一「死にぞこないの青」★★★★☆
幻冬舎文庫 2001/11/01(木)入手 2001/11/14(水)読了
どこにでもいそうなごくふつうの小学生ミチオ。しかし、5年生になり新任の若い先生が担任となってから、彼の日常は少しずつおかしくなり始める。先生はクラスを統率するためのスケープゴートとして、ミチオを選んだのだ……。
いじめられっこのファンタジー&ホラー。乙一って、こういう繊細な人(子供)の内面を描くのがうまいなー。面白かった。
■ 芦辺 拓「歴史街道殺人事件」★★☆☆☆
徳間文庫 2001/10/22(月)入手 2001/11/14(水)読了
失踪した娘を探し出して欲しいと頼まれた森江春策は、その関係者としてあまり思い出したくなり古い知り合いの名前を聞く。昔と変わらず自分勝手な旧友に再会し、引きずり回されたあげくに対面したのは、有名なゲームデザイナーの死体だった……。
旅行ミステリーっぽいタイトルだし、大ネタもそれがらみではあるけれども、全体としてはあんまり旅行ミステリーっぽくはない。この本も芦辺拓のミステリーマニア向けミステリーの系列だったんで、俺的にはあんまり好みではなかった。たぶん一番の大ネタのつもりであろう寸が足りない切断四肢も、切断面の生活反応についてあれだけしつこく語られちゃうとすぐにその意図に気づいちゃうよな。
2001/11/12(月)
■ 乙一「きみにしか聞こえない Calling you」★★★☆☆
角川スニーカー文庫 2001/11/01(木)入手 2001/11/12(月)読了
人とうまくやっていくことができず、いつも独りで過ごしている女子高生リョウ。おそらく学校で唯一ケイタイ=友達とのつながりを持っていない彼女は、頭の中にだけ存在する自分のケイタイを持っていた。ある日、空想上のそのケイタイの呼び出し音が鳴った……。
という表題作に加えて、人の怪我を自分に転移させることができる少年の話「傷-KIZ/KIDS-」と、歌を歌う少女の形をした不思議な植物を巡る「華歌」の3編を収録。
この間読んだ同レーベルの「失踪HOLIDAY」はかなりきつかった(レーベルに合っていた)けど、これはあんまり少女向けっぽくないふつうの話。どれもコミュニケーションが苦手な故の痛みをテーマにしている秀作。でも背表紙の“切なさの達人”ってキャッチコピーはちょっと恥ずかしすぎると思う。
2001/11/10(土)
■ 乙一「天帝妖狐」★★★☆☆
集英社文庫 2001/11/01(木)入手 2001/11/10(土)読了
少年は、一人でやったこっくりさんで不思議な霊早苗を呼び出してしまった。早苗は未来のことをいろいろ教えてくれるのだ。友達が事故で亡くなった日、自分があと4年で死ぬと聞かされた少年は、早苗に自分の命が助かるためなら自分の体をあげると約束してしまう。その日から少年は不死という地獄を手に入れる……。
タイトル作よりも同時収録のA MASKED BALLの方が面白かったかも。そっちは学校を舞台にした日常ミステリーサスペンスみたいなもの。
乙一をまとめ買いしてじわじわ読んでいるんだけど、なんか今のところ着眼点が面白くて完成度がそこそこ高い小品ばかりで、不満足ってことはないんだけど、「すげーおもしれー!」ってのは一個もない。
今のところは平均点が高いけれども最高点が高くない作家って印象。
■ 乙一「失踪HOLIDAY」★★★☆☆
角川スニーカー文庫 2001/11/01(木)入手 2001/11/10(土)読了
わがままなお嬢さんナオは、自分の留守中に誰かが部屋に入った形跡があるのが継母の仕業である証拠をつかむため、使用人たちが住む隣の建物に“家出”した。そして、不器用な使用人クニコを手下に家の様子を探る……。
これも表題作よりも同時収録の「しあわせは子猫のかたち」の方が面白かったな。そっちはほのぼの幽霊もの+ちょっとミステリーな感じ。
表題作はもうあまりにも少女向け小説っぽい話で、いちおうオチはそれなりだけど、それもかなりベタな代物だった。まあレーベルがレーベルだからしょうがないか。
■ 瀬名 秀明「虹の天象儀」★★☆☆☆
祥伝社文庫 2001/11/01(木)入手 2001/11/10(土)読了
先日閉館した五島プラネタリウム。そこで長い間技師兼説明員として働いてきた“私”が閉館後の後始末をしていると一人の少年が訪ねてくる。そこから時間を巡る不思議な旅が始まった……。
んあ? なんじゃこりゃ。なんか瀬名秀明という名前に期待していたものとは全然違うものだった。ほのぼの系ファンタジーか。なんだかあんまり特徴(新奇さ)のない話だなーといった印象。これってあの「SFから離れる宣言」の前に書いたんだろうか、後に書いたんだろうか?
天体観測と織田作之助に思い入れがある人以外には面白くなさそうな気が。作者はよほど織田作の「思いが残る」という臨終の言葉と、その作中人物がプラネタリウムを見ながら死ぬシチュエーションに感興を受けたんだろうけど、その感興があんまり一般化できていないんだろうな。
2001/11/09(金)
■ 芦辺 拓「殺人喜劇のモダン・シティ」★★☆☆☆
講談社文庫 2001/10/22(月)入手 2001/11/09(金)読了
戦前、猥雑な活気にあふれるモダンシティ大阪で、一人の女学生と新米新聞記者が、大陸で撮影された映画にまつわる連続殺人事件を追いかける。
これは芦辺拓の中では、いわゆる本格っつーか、ミステリミステリしたミステリーの系列のものだ。どうもこの手の話は俺は苦手。舞台となる戦前の大阪および日本の空気みたいなのも、そこそこ面白いけどそれほど興味がもてる時代じゃないし。
出来自体は悪くないんだけど、俺の趣味には合わないってことで。
2001/11/06(火)
■ 乙一「夏と花火と私の死体 」★★★☆☆
集英社文庫 2001/11/01(木)入手 2001/11/06(火)読了
夏休み。とある田舎町。わたし――五月は同級生の弥生ちゃんと一緒に遊んでいるときに、木から落ちて死んだ。弥生ちゃんに突き落とされたのだ。弥生ちゃんと弥生ちゃんのお兄ちゃん、健くんは、死んだわたしの体を隠すことにした。翌日から大人たちがわたしのことを探し始めた……。
すげーなー、これ書いたとき作者は17歳だったのか。若い女の作家はよく聞くけど、若い男の作家ってのは珍しい。といっても、三島由紀夫とかもデビューする前の若年から創作はしていたんだっけ。
年齢に関してはともかく、作品の方のでき自体はまあふつう。死んだ幼い女の子の一人称で、死んだ後のブラックなどたばたを淡々と語るっていう着想がすごく面白いんで、トータルでの評価は高め。
■ 芦辺 拓「殺人喜劇の13人」★★☆☆☆
講談社文庫 2001/10/22(月)入手 2001/11/06(火)読了
大学のミステリーサークルのメンバーが寄り集まったぼろアパート泥濘荘。その住人が一人また一人と殺されていく。いかにもミステリーチックな趣向を添えて……。
ミステリーチックなミステリーとしては、かなり良くできていると思う。でも、こういう謎解きに主眼を置きすぎた話は、俺はあんまり好きじゃない。オチのあたりなんて、それこそ作中人物のようなミステリーマニアじゃないと共感できない感情の動きなんじゃないか。
俺には探偵が事件を解決することを気恥ずかしく感じるって心の動きはよくわからん。ミステリーマニア向けの読み物でそういう感情の動きが描かれているのを読んだことがあるから、きっとそういうことなんだろうなーと思ったんだけど、読んだことがなかったらそんな感情の動きがありうるなんて思いも寄らなかっただろう。
メタ的なものの見方が当たり前になっちゃうくらいの倒錯がなければ、そんなことは思わないよな。ってもしかしたら、そういう話じゃなかったりして。
2001/11/03(土)
■ ジョン・ダニング「深夜特別放送 下」★★★★★
ハヤカワ・ミステリ文庫 2001/10/15(月)入手 2001/11/03(土)読了
というわけで下巻。下巻のあらすじは、ネタバレになりすぎるから省略。
結局下巻の中盤のだんだん真相が明らかになっていく前あたりまでがものすごく面白かったな。そこから先もまあ普通に面白かったけど。
ラジオが舞台の話だけれども、最後の方はものすごく映像化を意識したような作りだったなー。ラストシーンなんてそのままカメラとライティングまで指示されている感じだし。別にラジオからテレビの時代へと移り変わったことを象徴して見せているわけじゃないよね。
2001/11/01(木)
■ ジョン・ダニング「深夜特別放送 上」★★★★★
ハヤカワ・ミステリ文庫 2001/10/15(月)入手 2001/11/01(木)読了
第二次大戦が始まりかけているアメリカ。なかなか芽が出ない作家ジャックは、競馬場で日々口を糊するための仕事についていた。そんなある日、酒場での喧嘩で警察に捕まったジャックは強制労働所に送られることになる。だが、亡くなった親友の恋人が自分を探していることを知ったジャックは、強制労働所から脱走し彼女に会いに行った。しかし彼女は行方不明。わずかな痕跡を頼りに彼女を探すジャックの道程には、たくさんの危険が待ちかまえていた。なんとか危険を乗り越え、ようやくたどり着いたラジオ局ハーフォードで、ジャックは歌姫となっていた彼女を発見する。彼女は、ジャックのことをまるで知らない人のように応対した。本当に彼女はジャックのことがわからないのか、それとも何か裏の意味があるのか? ジャックは偽名を使ってラジオ局に潜り込み、彼女のことを見守ることにする。彼女を守るために潜り込んだはずのラジオ局で彼は、彼自身も気づいていなかった天職、ラジオ番組制作の仕事を発見していく……。
というわけで、久しぶりのジョン・ダニング。「死の蔵書」と「幻の特装本」の古書刑事シリーズは面白かったね。その後に出たデビュー作(タイトル忘れた)は、つまらなかったけど。
で、この「深夜特別放送」は古書刑事シリーズよりも面白い気配。上巻だけ読んでも十分に面白い。いくつかの謎を巡るミステリーサスペンスをやりつつ、第二次大戦中のアメリカの時代の空気を描きつつ、ラジオ局の仕事における人間ドラマを描きつつ、とストーリーが重層的に流れていく。
これだけ面白かったら下巻を読まなくてもいいかも(嘘)。このまま最後までちゃんと面白いといいなー。
2001/10/30(火)
■ 芦辺 拓「地底獣国(ロスト・ワールド)の殺人」★★★☆☆
講談社文庫 2001/10/22(月)入手 2001/10/30(火)読了
1930年代の日本。小さな新聞社が特ダネ合戦を繰り広げる中、ある新聞社がノアの方舟伝説の地、アララト山への飛行船による探検旅行を企画する。その探検隊のメンバーには、素人探偵・森江春策の祖父が含まれていたという……。
そして現代、図書館で出会った謎の老人から歴史に記されていない驚異の冒険行の詳細を聞かされた森江春策は、数十年前に行われたファンタジックな冒険行における殺人事件の謎を解く。
面白かった。まず物語の構造自体が面白い。物語の中で老人によって語られる物語は、いわゆるロストワールドものの冒険談。しかもちょっと古くさい日本的な国際謀略(スパイ)ネタも絡んでいる。そして、そういうファンタジックな舞台でも、ちゃんとしたミステリーものを成立させている。それだけでなく、さらには語られた過去の物語に対して、現代の立場からの謎解きすらしてみせる。
相変わらずこの人の作品はネタが深い。装丁に古くさい少年向け冒険もののようなデザインを使っているのは、そういうものに対するノスタルジーにプラスして、その手のノリの中でもちゃんとミステリーしていることへのギャップを狙っているんだと思うけど、ちょっとやりすぎって気がする。俺はあのデザインで読む前にちょっとひいちゃったし。
2001/10/25(木)
■ 芦辺 拓「死体の冷めないうちに」★★☆☆☆
双葉文庫 2001/10/22(月)入手 2001/10/25(木)読了
中央集権型の現在の警察機構に対するアンチテーゼとして、大阪市は市民の手による警察を作り上げた。という設定の警察が活躍するトリック重視ミステリー短編集。
パズル系ミステリーとしては、なかなか面白かった。ただちょっと軽すぎて読み応えに欠ける。まあそういうのを狙ってやったらしいけど。
それにしてもこの人って、警察権力批判ネタが定番なのかな? 役人批判とかもあるけど。そういやタイムリーな日本の大使館批判もあったな。
2001/10/24(水)
■ 呉 智英「ロゴスの名はロゴス」★★★☆☆
双葉文庫 2001/10/18(木)入手 2001/10/24(水)読了
相変わらずのシニカルな言葉に関するエッセイ。この人のこの手のエッセイには、いろいろと創造力を刺激してくれる断片が含まれていて楽しい。偉い(と世に思われている)人批判ネタはちょっと食傷気味だけど。
2001/10/19(金)
■ 大沢 良貴「累卵の朱 万象史記」★★★☆☆
白泉社My文庫 2001/10/18(木)入手 2001/10/19(金)読了
古代中国系ファンタジーな世界の三国志。裏で謀略を張り巡らせる軍師永冬。三国時代の幕開けとなる第3部の後に、永冬の幼少の頃の話である第1部が続く変則的構成。
なかなか面白かった。中国・日本の古代から史実・人物を引っ張ってきてミックスさせつつ、いい感じにファンタジックなオリジナル設定を混ぜて、しかもなんとなく隆慶一郎風でもある。長編化してくれるとかなり良さそうだ。
ただし、この構成はやめて欲しかったなー。続きが出せるかどうかわからない状態だから、一番おいしいところをとっとと書いてしまいたかった気持ちはわからないでもないけど、第1部のでだしだけで終わらせちゃうのは、ものすごく中途半端だ。あと最初にピークを持ってきたせいで、後半だるくなり気味。
やっぱふつうの構成の方が読後感がいいと思う。せめて第1部の方も1冊の本の終わりとして納得いくところまで進めてくれれば、それなりの読後感だったのに。まあそれも2巻が無事出てくれれば問題なくなる話ではあるんだけどね。
2001/10/16(火)
■ 北村 薫「盤上の敵」★★★★☆
講談社ノベルス 2001/10/12(金)入手 2001/10/16(火)読了
テレビ番組のディレクターである末永が車で家に帰ると、そこにはたくさんのパトカーが停まっていた。家に電話をかけると見知らぬ男の声。銃を持った男が籠城しており、まだ新婚の奥さんが人質に取られているという……。
面白かった。北村薫って作者の作風と、「盤上の敵」っていかにもトリック重視っぽいタイトルが、実は全体的なミスディレクションを誘っていたようにも思える。推理しては裏切られ推理しては裏切られ、っていうミステリのどんでん返しの楽しみが多め。ただしノベルス版の前書きにもあるけど、あんまり後味のいい話じゃあないね。
2001/10/15(月)
■ 梶尾 真治「おもいでエマノン」★★☆☆☆
徳間デュアル文庫 2001/10/12(金)入手 2001/10/15(月)読了
地球に生命が誕生して以来30億年の記憶を受け継ぐ少女エマノン。彼女を巡るさまざまなショートストーリー。
すごく魅力的な題材なんだけど、なんかいまいちぱっとしなかった。最初のエマノン登場ストーリーはいい感じだったんだけど、それ以降の話がそれよりも盛り上がらない。これだったら最初の一編だけで終わりの方がきれいだったなー。続きもあるみたいだけど、あんまり読む気がしない。ぱらぱらっと立ち読みしてみて良さそうだったら買おうかな、くらい。
■ 北村 薫「北村薫の本格ミステリ・ライブラリー」★★☆☆☆
角川文庫 2001/09/14(金)入手 2001/10/15(月)読了
北村薫が選んだミステリー短編集。
北村薫の本は好きなんで、彼が選んだミステリーならば面白いかなーと期待したんだけど、なんかそれほどでもなかった。ところどころの選択にはらしさも出ていたけれども、全体としてはごく個人的な懐かしさをベースに選んだ古いミステリー集って感じ。ミステリー自体が好きって人よりも、ミステリー業界が好きって人向けだな。
2001/10/12(金)
■ 栗本 薫「魔界の刻印 グイン・サーガ (81)」★★★☆☆
ハヤカワ文庫 2001/10/12(金)入手 2001/10/12(金)読了
パロへと出兵したケイロニア王グインは、ついにレムスとの対面を果たす……。
久しぶりに結構楽しかったかも。作者が変に趣味に走らず(お気に入りのキャラクター関連の話を書き込みすぎず)にいてくれれば、昔ながらのグイン・サーガっぽい感じになるね。あとがきはまあ読まなきゃいいから、どうでもいいんだけど。
2001/10/11(木)
■ 赤瀬川 原平「老人力 全一冊」★★☆☆☆
ちくま文庫 2001/10/03(水)入手 2001/10/11(木)読了
トマソンの人が、老化による衰えをポジティブな力“老人力”ととらえると面白いんじゃなかんべかと言い出したところ、あちこちで反響があったんで、さらにそのネタをいじって本にしたって感じ。もともとは2冊の本を文庫化の際に1冊にまとめたらしい。
“老人力”ってネタはそこそこ面白いけど、こんだけの分量の本にするほどじゃあないよな。っつーか、こんだけの分量にするならば、ぐだぐだと細かいところをほじくり返すような展開じゃなく、もうちょっとドラスティックに話を進行させてもらいたいもの。
まあこういうだらだらした感じの方が、老人力が横溢している感じでいいのかもしれないけどね。
2001/10/03(水)
■ ほったゆみ 小畑健「ヒカルの碁 (14)」★★★☆☆
集英社 2001/10/03(水)入手 2001/10/03(水)読了
toya koyoとsaiの戦いも大詰め。世界中の囲碁関係者が見守る中、勝負の決着はついた。そしてその対局をもっとも近い場所で見ることができたヒカルは、また一段と成長するのであった……。
はじめからそこそこ面白かったし、2、3巻あたりが出た頃からは買うようになってはいたんだけど、それでもまさかこんな地味なマンガがここまで面白くなるとは思っていなかったよ。
でもマンガのおもしろさに比例して、囲碁の人気があがるってことはなさそうなマンガだなー。結局囲碁の勝負のディテールにはあまり凝らず、一般論レベルの雰囲気でおもしろさを醸し出しているからな。だから囲碁を知らない人でも楽しめる。
■ 芦辺 拓「十三番目の陪審員」★★★★★
角川文庫 2001/09/14(金)入手 2001/10/03(水)読了
不況で職を失い、作家になることを夢見つつも無為に時を過ごしていた鷹見は、先輩から冤罪計画を持ちかけられる。存在しない被害者を殺した犯人として告発され、その経過を手記として発表する計画だ。壮大な計画のもとに予定通り警察に捕まった鷹見は、しかし計画にはなかった本当に被害者がいる強姦殺人事件の容疑者とされてしまう。そして日本でようやく導入されつつあった陪審員制度による彼の裁判が始まった……。
初めて読んだ芦辺拓。ものすごく面白かった。いわゆるミステリーであり、裁判ものであり、陰謀ものであり、社会告発ものであり、そしてそれらがみんなうまく絡み合って話が進んでいく。久しぶりに出している本を一通り全部読んでみたい作家に出会ったかも。この本はシリーズものの6作目だったんだね。ひとまずはシリーズを一通り制覇しよう。
2001/10/01(月)
■ 浅田次郎「プリズンホテル 3 冬」★★★★★
集英社文庫 2001/09/28(金)入手 2001/10/01(月)読了
救急救命医療に命をかけてきた“血まみれのマリア”こと阿部看護婦長は、常連だった深夜レストランの女の子の死をきっかけに、誰にもじゃまされず休みを取れる場所、プリズンホテルで久しぶりの休暇を取ることにした。深い雪に閉ざされた冬のプリズンホテルには、昔求婚されたことのある医師であり、今は安楽死問題で渦中の人となっている平岡がいた。さらに自殺志願の少年、高名なアルピニスト、そしておなじみの作家木戸孝之介&清子ペアなども居合わせ……。
相変わらず面白いなー。一巻を読んだときはまあいつもの浅田次郎だなと思っていたんだけど、この巻は今まで読んだ浅田次郎の小説の中では一番面白かったかも。浅田次郎は、良くできたエンターテインメントに、べたな人情話をうまく絡めてくるのがうまい。笑いと泣かせを自在に操っている。
2001/09/28(金)
■ 板垣 恵介「バキ (10)」★★☆☆☆
秋田書店 2001/09/28(金)入手 2001/09/28(金)読了
ドリアン編がなんだかつまらない終わり方をしてしまったあと、オリバが登場するあたり。
惰性で買っちゃってるけど、もうあのトーナメント編の頃のアツさは二度と蘇らないのかなー。
2001/09/27(木)
■ 篠田 真由美「月蝕の窓 建築探偵桜井京介の事件簿」★★★☆☆
講談社ノベルス 2001/09/14(金)入手 2001/09/27(木)読了
昭和初期から、自殺・殺人等因縁めいた話がいくつも残されている洋館。県に寄贈されるという話が持ち上がったところ、放火未遂事件が起こったため、その番人として桜井京介が雇われた。そして起こる事件……。
このシリーズはもう買うのをやめていたんで、ここ数冊は読んでいないんだけど、桜井京介の封印された過去が云々ってキャッチを見て、久しぶりに買ってみた。結構面白かった。話を無駄に広げ過ぎ(因縁話が風呂敷大きめで複雑な割には、その効果がさほどない)って気がしないでもないけど、ミステリーとしては楽しい。
ただ、桜井京介の封印された過去が云々ってのはまったく期待しない方がいいね。単にほとんど桜井京介視点で書かれているんで、彼のモノローグ部分が多くなっているだけって感じ。
2001/09/26(水)
■ あずま きよひこ「あずまんが大王 (3)」★★★☆☆
Dengeki comics EX 2001/09/25(火)入手 2001/09/26(水)読了
結局買っちまった。再読を繰り返すとはまるかも。いや、“はまる”というほどの吸引力はないか。なんかだらっと面白い。
■ 王欣太「蒼天航路 (23)」★★★☆☆
講談社 モーニングKC 2001/09/25(火)入手 2001/09/26(水)読了
赤壁の大敗で曹操が行方不明になったりする話。
このあたりはどのくらい原作(原案)の人の元ネタにあった話なんだろう? もともとカットビ三国志ではあったのだけれども、トビ方が当初の方向とはちょっと違ってきている気がする。まあそれでも面白いけれども。
■ ドロシー・ギルマン「テイル館の謎」★★☆☆☆
集英社文庫 2001/09/14(金)入手 2001/09/26(水)読了
父親が副社長を務める会社でいやいや働いているアンドリューは、とある理由で文章が書けなくなった元小説家。変わり者とされていた叔母から父が受け継いだ田舎の土地を見てくるよう父に命令され、せっかくの休日をつぶして現地にやってきたアンドリューは、空き家のはずのそこに住む人々と遭遇する……。
ちょっとほのぼの系宝探し&自分探し&田舎はいいよねーというお話。出てくる登場人物もいい人たちばかり。面白くなかったわけではないけれども、あんまり記憶には残らなそうだ。
2001/09/25(火)
■ あずま きよひこ「あずまんが大王 (2)」★★★☆☆
Dengeki comics EX 2001/09/15(土)入手 2001/09/25(火)読了
1巻と同じ感想。
■ あずま きよひこ「あずまんが大王 (1)」★★★☆☆
Dengeki comics EX 2001/09/15(土)入手 2001/09/25(火)読了
なんかあちこちで目にするタイトルなんで、どんなもんなんだろうと試しに買ってみた。まあまあ面白い。でもわざわざ買うほどでもなかったかな。
と初読時には思ったけれども、その後再読再々読しているうちにじわじわと面白さが増してきた。なんだかだらっと暇なときに読み返すと面白いかも。
2001/09/22(土)
■ 上遠野 浩平「ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト」★★☆☆☆
メディアワークス 2001/09/15(土)入手 2001/09/22(土)読了
明日に絶望している少年と明日を信じている少女。偶然出会った二人は謎の包帯イタチの指示のもと、世紀の犯罪コンビとして有名になっていく。その陰では、謎の最終兵器ロック・ボトムを巡る裏組織の争いがあった……。
ボニーとクライド風味に見せかけつつ、ブギーポップするあたりの狙いは面白いんだけど、結局あんまり面白くなかった。それにしても、車周りのアクションシーンで、トップギアに入れて加速しているところでちょっと引いてしまった。
なんか最近新作を読んでもさっぱり面白いと思えなくなってしまったなー。そろそろ本当に読むのやめようかな。振り返ってみると、一作目の新奇な面白さの印象だけでここまで読み続けてきちゃった感じだ。
2001/09/19(水)
■ 宮部 みゆき「R.P.G.」★★★☆☆
集英社文庫 2001/09/17(月)入手 2001/09/19(水)読了
カラオケ店でバイトする若い女性が被害者の殺人事件と、建築現場で見つかった家庭を持つ会社員の殺人事件。当初別々の事件として捜査が進められていた二つの事件を結ぶ接点が見つかった。容疑者は浮かび上がったのだが、犯人としての決め手に欠けそれ以上捜査が進展しない。行き詰まりをみせつつある捜査本部では、長年書類整理を手がけ捜査の第一線には関わってこなかった一人のベテラン刑事が、新しい視点から事件を解明する手段を提案した……。
宮部みゆきらしいお話。ふつうに面白いけど、スゴク面白いってほどではない。良くできた火曜サスペンス劇場っつーか、三谷幸喜のお芝居みたい。三谷幸喜ならばこういう話にも、もっと笑いの要素を入れてくるだろうけど。ほかの作品に出てきた刑事たちを登場させたりしてるんで、そういうのが好きな人はさらに楽しいかもしれない。でも、宮部みゆきの小説ってキャラクター系じゃないから、そういうのが好きな読者はそれほどいないかも。
shino (2001/12/26 10:02)
確かに宮部みゆきらしいお話だなぁと思うのですが、じゃあ面白かったか?と聞かれたら「・・・」という感じ。一回読めば十分かな。
■ 森 博嗣「六人の超音波科学者」★★★★☆
講談社ノベルス 2001/09/14(金)入手 2001/09/19(水)読了
超音波を専門に研究する私立研究所で重大な発表が行われ、そのパーティに紅子と小鳥遊が呼ばれた。その頃警察には、研究所につながる唯一の山道にかかる橋の爆破予告電話があり、警察の見守る中予告通り橋が爆破されてしまう。そして、研究所に所属する6人の科学者のうち一人が死体で見つかった……。
なんか久しぶりにS&Mシリーズの頃みたいな感じで面白かった。パズル的な要素が強い話だったからかな。Vシリーズになって主役キャラが増えすぎて、キャラクターものとしてはいまいちって感じが強かったんだけど、ようやくこのキャラクターたちに馴染んできたのかも。それでもやっぱりS&Mシリーズに比べればキャラクターが弱すぎだとは思うけど。
2001/09/14(金)
■ 業田 良家「詩人ケン」★★★☆☆
幻冬舎文庫 2001/09/14(金)入手 2001/09/14(金)読了
モヒカンにサングラスという格好の現代の詩人ケン。かわいい妻とモヒカンの息子を捨てて旅に出たり、右翼に文句をつけて捕まったりしながらも、ホントウの自由を探し続ける。
業田良家っぽい話。ベタな表現で言うと人情社会派系。「ホントウの自由を探し続ける」という言葉は、ある種のジョークであり本音でもある二律背反。
■ 結城 五郎「心室細動」★★☆☆☆
文春文庫 2001/09/14(金)入手 2001/09/14(金)読了
もうじき教授になることがほぼ決まっているベテラン医師上原は、まだ新米医師だった頃医療ミスにより患者を一人死亡させていた。当時の院長の指示によってその事故はもみ消された。それから20年、すでに時効も成立したあとになって、院長が急死し、彼が生前脅迫を受けていたことを知らされる。それを上原に知らせてくれた婦長もまた、後を追うように急死した……。
作者は医者なんだね。なんとなく良くできた火曜サスペンス劇場のようなお話。こういう地味な話はあんまり好みではないんで、自分ではわざわざ買ったりしないタイプの本なんだけど(これはオクサンが買って置いていた本)、読めばそれなりに面白い。
2001/09/13(木)
■ 津原 泰水「妖都」★☆☆☆☆
講談社文庫 2001/09/13(木)入手 2001/09/13(木)読了
両性具有と噂される人気バンドのボーカル、チェシャが自殺し、東京に奇妙な死者たちが増え始める。ふつうの人の目には見えない死者たちは人を殺し、東京に変死者が増加し始めた……。
初めて読んだ津原泰水の本。それなりに魅力がある世界&登場人物ではあるんだけど、全体としてひどくまとまりがなくごちゃごちゃでわかりにくい。しかもオチもちゃんと結末まで達していない。狙ってそういう終わらせ方をしたと言うよりは、まとめきれずに逃げたとしか思えないなー。せめて最後がきれいに終わっていれば、それなりに面白かったと思えただろうけど。