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title: "国産AIに大企業を集めて1兆円かあ"
slug: "ai-wa-saishin-nanoni-kokusaku-no-tsukurikata-ga-furui"
publishedAt: "2026-07-01T00:35:27.189Z"
updatedAt: "2026-07-01T00:35:27.376Z"
tags: ["essay","AI","国産AI","フィジカルAI","経済産業省","ソフトバンク","産業政策"]
excerpt: "国産フィジカルAIに初年度3873億円、5年で約1兆円。必要な研究だとは思う。でも、国が金を出し、大企業を大量に集め、新会社を作るという座組を見た瞬間、なぜか成功しなさそうに感じてしまった。"
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[Yahoo!ニュース: 国産AI会社に3873億円支援 経産省](https://news.yahoo.co.jp/pickup/6586255?source=rss)

経済産業省が、国産AIの開発に2026年度だけで3873億円を支援するらしい。[朝日新聞の報道](https://smart.asahi.com/v/article/ASV6Z0G2ZV6ZULFA02LM.php)によると、5年間で約1兆円を予定している。

1兆円かあ。

AIは今後も重要になるだろうし、アメリカと中国に全部任せます、というわけにもいかない。これで米中に追いつけるとも思わないが、何もしなければもっと差が開く。国が金を出して研究すること自体には、あまり反対ではない。

でも、採択先の名前を見たところで、なんだか急に嫌な感じがしてきた。

ソフトバンク、NEC、ホンダ、ソニーグループが中心となって作ったNoetraという新会社。そこに産業技術総合研究所が加わり、報道では40社を超える企業が参加するという。

ああ。国が大きな金を出して、有名な大企業をたくさん集めて、新会社を作って何かをやるやつだ。

まだ始まってもいない。技術的にうまくいかないと決まったわけでもない。参加企業には優秀な技術者も研究者もたくさんいるだろう。

なのに、社名が並んでいるところを見ただけで、あまり成功しそうに思えない。完全に偏見である。

大企業が悪いと言いたいわけではない。各社が自分の商売として、自分の金で、自分の責任で開発するなら普通に期待できる。

しかし国の事業として大量に集まった瞬間、会議、調整、稟議、知的財産の扱い、データをどこまで出すか、各社の要望、経産省への説明、NEDOへの報告などが増えていく感じがする。AIモデルより先に資料が充実しそうだ。

AIは数カ月で状況が変わる。海外で新しいモデルが出たら、昨日までの計画を捨ててでも方向を変える必要がある。40社以上が関係する国の事業で、それを素早く決められるのだろうか。

日本にはSakana AIやPreferred Networksのように、すでにAI研究を本業としてやっている会社もある。PFNは製造業、ロボット、独自AI半導体まで長く取り組んでいるので、今回のフィジカルAIにもかなり近い。

この二社も別の支援制度であるGENIAC第4期には採択されている。[採択企業一覧](https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/geniac/geniac_magazine/kickoffevents_4.html)には、Sakana AI、PFNのほか、TuringやABEJAなども並んでいる。だから有望な会社を完全に無視しているわけではない。

ただ、Sakana AIやPFNなど16件が採択された基盤モデル開発枠は、[NEDOの公募要領](https://www.nedo.go.jp/content/800046928.pdf)によると2026年度全体で約100億円である。単純に16で割れば1件あたり6.25億円。実際の配分は均等ではないだろうし、各社の金額も公表されていない。

一方、Noetraと産総研の事業は初年度だけで3873億円。事業の目的や範囲は違うので単純比較はできないが、金額の差はものすごく大きい。

AIを本業としている会社をいくつも競わせるところには全体で100億円。大企業をたくさん集めた新会社には初年度3873億円、5年で約1兆円。

そういう配り方をするんだなあ。

もちろんフィジカルAIには、工場、自動車、ロボットなどの大量の現場データが必要になる。だから製造業の大企業を集める理由は分かる。研究会社一社では手に入らないデータも設備もある。

理屈は分かる。分かるのだが、成功しなさそうに見える。

そしてソフトバンクである。

厳密には、OpenAIへ巨額投資しているソフトバンクグループと、Noetraの中心となる通信会社のソフトバンクは別法人だ。そこは一緒に扱うべきではない。

ただ、ソフトバンクグループは2025年度末までにOpenAIへ累計346億ドルを投資し、2026年にはさらに300億ドルを投資すると発表している。[ソフトバンクグループの経営方針](https://group.softbank/en/ir/investors/management_policy)に書かれている数字である。

アメリカのAIには、自社資金で何兆円も出す。では国内のAIには、中心企業が自分の金をいくら出すのか。確認できる資料からは分からなかった。

国産AIがそれほど重要なら、国から金をもらうだけでなく、自分たちも相応の金を出してほしい。やるなら自分の金でもやれよ、とは思う。

今回の計画にも良いところはある。[NEDOの提案概要](https://www.nedo.go.jp/content/800057655.pdf)には、学習済みの重みを事業期間中から国内に公開すると書かれている。毎年審査して、継続するかどうかも判断するらしい。最初から全部決まっていて、5年後まで止められない計画ではない。

それでも印象はあまり変わらない。

誰が技術面の最終判断をするのか。誰が予算配分を決めるのか。うまくいかなかったとき、誰が責任を負うのか。そこは外から分かるようにしてほしい。

私はこの計画の技術評価をしたわけではない。参加企業の内情も知らない。大企業がたくさん並んでいるのを見て、過去の国策事業を思い出し、成功しなさそうだと思っているだけである。

ただ、この偏見はかなり学習済みである。

国産AIより先に、私の国策事業への不信のほうがよく育ってしまっている。
