キャンピングカー、遊びには持て余すけど防災にはちょうどいい

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キャンピングカーは一時期すごく流行った。YouTubeでもテレビでも取り上げられ、これさえあれば好きなところへ行って好きなところで寝られる、みたいな夢が売られていた。

でも、実際に所有するとそんなに気軽なものではない。車体が大きい。停められる場所は限られる。燃費も維持費もかかる。トイレを付ければ後始末が必要になるし、車内で料理をすれば匂いも残る。旅行のたびにホテルを探さなくてよい代わりに、旅行のあいだずっとそこそこ大きな車の面倒を見ることになる。

最近はブームとして騒がれる時期も少し落ち着いたように感じる。ただし、国内の登録台数は2025年3月時点でも前年比4.2%増なので、市場そのものが縮んでいるわけではないらしい。

ただまあ遊び道具としては、まあまあ持て余すのは事実だ。

一方、日本で暮らすための防災用品として見ると、キャンピングカーは急に実用的に見えてくる気がする。日本は地震も台風も豪雨もあり、停電や断水も起きる。自宅から避難しなければならないこともある。そのとき、眠る場所と電気と水をまとめて確保できる車は強い。

わたしのキャンピングカーには、8000Whクラスのバッテリーと450Wクラスのソーラーパネルを載せている。電気を無制限に使えるわけではないが、冷蔵庫、照明、スマートフォン、PC、通信機器などはかなり長く動かせる。晴れていれば少しずつ充電できるし、足りなければ車のエンジンを使って充電する手段もある。

ここまで用意すると、単に車の中で寝られるという話ではなくなる。自宅の電気が止まっても、最低限の生活を続けられる別の場所になる。

元の記事では、断水時に皿へアイラップをかぶせ、食後は袋だけを捨てれば洗い物をしなくて済むという方法が紹介されていた。キャンプや車中泊では、この手の工夫が当たり前のように使われる。水道の蛇口をひねれば水がいくらでも出る生活と違い、使った水のぶんだけタンクは減るし、排水も勝手には消えてくれない。

キャンプやキャンピングカー系のYouTubeを見ていると、最低限の物資で日常生活を続ける方法がいろいろ紹介されている。限られた水と電気と空間でどう暮らすかを、みんな実際に試している。

料理では、皿や調理器具にラップやアルミホイルを使って汚れ物を減らす。窓には断熱材や銀マットを入れて、車内の温度が外気からきり離せるようにする。ポータブルトイレも、便座型、袋と凝固剤を使うもの、臭いを漏らしにくくする方法など、かなり多くの工夫がある。どれも派手ではないが、断水や停電が起きたときにはそのまま役に立つ。

わたしは組み立て式のポータブルトイレを使っているが、専用の凝固剤は使っていない。袋の中へペットのトイレシートを敷いて、そのまま吸収させている。犬を飼っている家なら普段から置いてあるものを流用できるので、専用品を別に買うより安くて手軽だ。

ペットを飼っていると、災害時に避難所へ一緒に入れなかったり、入れても人と同じ空間では過ごせなかったりする可能性がある。そういう場合に、車内でペットと一緒に過ごせる環境を用意しておく意味は大きい。キャンピングカーや車中泊仕様の車は、人間だけでなくペットの避難場所としても考える価値がある。

こういう知識は、防災用品の一覧を読んだだけではなかなか身につかない。一度キャンプや車中泊で使ってみると、必要なものと不要なもの、面倒なところ、代用品で済むところなどを体感しやすい。

キャンピングカーを使うようになってから、こうしたノウハウを日常生活でも使うようになった。日本で普通に暮らしていると、水も電気もほとんど無限だと思ってしまう。特にある程度年がいった人はそういう感覚で生きてきたと思う。しかし近年は、水も電気も何時でも余裕があるわけではないと実感させられることが増えた。

東日本の震災以降、防災用品を自宅へそろえている人はだいぶ増えたと思う。しかしそれも自宅へ戻れなければ使えない。車を置く場所を確保できるなら、車にも水、食料、簡易トイレ、寝具、電源などを分けて置いておくと、もう一つの備蓄場所になる。

もちろん全員が高価なキャンピングカーを買う必要はない。普通のミニバンや軽バンでも、横になって眠れるようにして、ポータブル電源と水と目隠しを用意し、一度そこで一晩過ごしてみれば、かなり違う。道具を買って終わりではなく、実際に使ってみるところまでが防災訓練になる。

キャンピングカーで旅行しない日が多くても、防災設備として待機していると思えば価値があるのでは? ずいぶん大きな防災用品ではあるけれども。

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