何千人も面接した人は、面接がうまいのか
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「面接官って評価されるの?」という、はてな匿名ダイアリーを読んだ。
その記事に書かれていた疑問は単純である。面接官が選んで入社した社員を追跡し、「この人が選んだ社員は成績がいい」「この人が選ぶと退職率が高い」と、面接官側を評価する仕組みはあるのだろうか。
確かに、あまり聞かない。
昔から「大手企業で数千人を面接した人事が語る、ダメな人を見破るポイント」みたいな本や記事はある。
数千人。すごい。だいぶ人を見る目がありそうに聞こえる。
でも、その数字は面接した人数である。正解した人数ではない。
採用される側は面接中ずっと評価されている。話した内容はもちろん、受け答えや態度まで見られ、合格か不合格かを決められる。では、その判断をした面接官は誰かに評価されるのだろうか。
実際にやろうとすると難しいのだろう。採用された人がよく働いたとして、それは面接官が見抜いたからなのか、配属先や上司や教育がよかったからなのか、きれいには分けられない。すぐ辞めた場合も、採用ミスとは限らない。会社のほうがダメだった可能性も普通にある。
さらに困るのが、不採用にした人である。
わたしも数十人程度は面接した。絶対にダメな人を落とすのは、比較的簡単だった。
ただし能力的にはまあまあだが、社風には合わないかもしれない、みたいな人の判断については、その判断が本当に妥当だったのかは今でも疑問である。入社していない人は、答え合わせができない。
落とした人が別の会社で大活躍しても、元の面接官にはたぶん連絡が来ない。
誤って採用した人は社内に残るので目につくが、誤って落とした人はそのまま視界から消える。ずいぶん面接官に都合のいい採点方式である。
面接研究では、質問と採点基準をそろえ、複数人で評価する「構造化面接」のほうが、自由な面接より信頼性や予測力を上げやすいとされている。雇用面接研究のレビューも、個人の勘より手順をそろえる方向である。
たくさん面接すれば、進め方には慣れる。よくある受け答えも分かるし、話を盛っていそうなところにも気づきやすくなる。でも、それが入社後の活躍を見抜く能力と同じなのかは分からない。
SNSには「こういう応募者はダメ」という話が流れてくる。一方で、「わたしが採用した人がことごとくダメだった。どうも人を見る目がないらしい」という話は、あまり流れてこない。
何千人も面接した人は、何千回も判断した人であるが、その正解数とは別だ。
次に「数千人を面接した人事」という肩書を見たら、その横に正答率も並べて書いておいて欲しくなる。
もしも書けるなら、面接人数よりそちらを大きく載せたほうが売れるだろう。