テニス観戦記 週報 ウィンブルドン2026・第1週 — 大坂がサバレンカ撃破でベスト8、望月はシナーに善戦
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というXのポストを書いたんだけど、トップ選手と日本人選手を中心にプロテニスツアーの動向を追う、というコンテンツはそれなりに需要があるのでは?と思って書いてみることにした。けど、これやってみたら思ったより面倒なので、長く続かないかも。
さて今週は、ウィンブルドンの第1週が終わったところ。わたしが気になっている選手を中心に、ここまでの日本勢と大会全体の動きをまとめておく。
今週の主な大会(ウィンブルドン)
今大会、とにかく有力どころの欠場が多い。アルカラスは手首の故障で全仏に続いてまた欠場。ドレイパーも1回戦の前日に腕をまたやっちゃった。ムセッティは左太もも、ルーネはアキレス腱と膝。ぜんぶで19人が欠場。
始まってからも荒れ気味で、1回戦だけでシードが17人敗退(初日で8人)。男子はルード(第11シード)、ルブレフ(第12)、シェルトン(第4)、ダルデリ(第14)あたり。最近調子が上がってきていたシェルトンもったいない。
セレナ・ウィリアムズ(44)が2022年以来、4年ぶりにシングルスへ戻ってきた。3-6 7-6 3-6 のフルセットで1回戦負け。まだまだ戦える感じなのはすごいけど、セレナ的には優勝のチャンスがないと復帰するモチベーションが維持できなそう。ひとまずUSオープンまではチャレンジするんだろうけど。
今年かぎりでの引退を表明しているワウリンカ(41)が、1回戦でベレッティーニと大接戦。4セットぜんぶタイブレークで、第1セットを取ったあと3セットを連取されて敗退。4時間19分の熱戦。ショットパワーとテニス脳的にはまだまだやれそうだけど、やっぱり体力がきついかなー。並の選手ならばこのくらいの成績で続けてもいいけど、ビッグ4に次ぐキャラとしては物足りないからなー。
個人的に芝が合うなーと思って見ていたブランドン・ナカシマが、2回戦でシュトルフにフルセットで負けたのは残念。6-4 6-7 6-7 7-6 6-7。今回はけっこう上まで残ると思っていたのに。
最近のメドベージェフ、前は完全にハードコートのスペシャリストという感じだったのが、だいぶオールコート型になってきた気がする。基本のプレースタイル自体は変えていないと思うけど、ほんの少しだけ攻撃が増えた感じ。ただ、今回は3回戦で、ナカシマを倒したシュトルフに負けちゃった。
そのシュトルフ、毎回苦戦しているんだけどしぶとい。1回戦のバエス、2回戦のナカシマ、4回戦のフルカチュがフルセット(最後は相手の途中棄権)で、間の3回戦メドベージェフ戦はストレートだけどタイブレーク2つ。そんな試合ばかり勝って、気づけばベスト8まで上がってきた。準々決勝の相手はシナー(7/7)。
苦しいのがチチパス。ランキングを落としてシードを失っていたから、2回戦でいきなりジョコビッチと当たって 3-6 4-6 2-6 のストレート負け。少し前までトップを争っていた選手なのに。ライバルだったズベレフが、この前の全仏でコボリをフルセットの末に破って念願のグランドスラム初優勝を果たしたのとは対照的。トップ戦線に戻ってこれるかなー。
そのジョコビッチは安定した勝ち上がり。4回戦もサフィウリンを 7-6 6-3 3-6 6-3 で下してベスト8。準々決勝の相手はオジェアリアシム(7/7)。そのオジェアリアシムも最近調子が良くて、4回戦はダビドビッチ・フォキナとのフルセットを制して勝ち上がってきている。ただ、そこそこの結果は出ても最後まで勝ちきれない印象だからなー。
あとディミトロフ。サーブとスライスが良いから芝適性はもともと高いけど、去年のウィンブルドンは4回戦で、シナーにリードしていたところ(6-3 7-5 2-2)で大胸筋を痛めてリタイア。そのシナーは、そのままウィンブルドンを優勝した。つまりディミトロフは優勝者を追い詰めていたわけで、あのまま無事にいっていれば、去年のタイトルすらあり得たかもしれない。今年はそこからちゃんと戻ってきて1回戦を勝ち、2回戦では若手有望株のメンシークを 7-6 4-6 7-5 6-3 で下し、3回戦ではワウリンカを倒したベレッティーニを6-3 6-4 3-6 5-7 6-3 のフルセットの熱戦を制してベスト16に入った。もう35歳で、体力的には年々きびしくなってきているから、芝で上を狙えるのは今年あたりが最後のチャンスに近いかも。ただ、あの5セットでだいぶ消耗していそうなのはちょっと不安。
ブブリクとティアフォーの3回戦、ブブリクが 4-6 7-6 7-6 4-6 6-3 のフルセットで競り勝った。ティアフォーはこの芝シーズン調子が良かったけど、3回戦で終わってしまった。ビッグタイトルが遠いなあ。ブブリクはベスト16でフリッツと当たる(7/6)。いい勝負になりそう。
いまヨーロッパは記録的な熱波で、40度を超えて死者もかなり出ている。そのわりに今回のウィンブルドンは、今のところ暑さで倒れる選手みたいなのがそんなに目立たない。全仏のときはシナーが、2回戦のセルンドロ戦で 6-3 6-2 5-1 とほぼ勝ちかけたところから体調を崩して、終盤に20ゲーム中18を落とす大逆転負けをしていた。ああいうのが今大会は今のところ少ない気がする。芝と気候のかね合いなのか、たまたまなのかは分からないけど。
一方で気になるのが、芝に足を取られて転ぶ選手の多さ。初日からシナーが何度も滑って靴に血をにじませたり、ジョコビッチが滑ったり、シェルトンは第5セットで滑ってそのままマッチポイントを落として負けたり。芝の剥げるペースも例年より早い気がするし、怪我の原因になりそうで心配。
女子はイアラ(アレックス・イアラ)がシフィオンテクを倒した。3回戦で 7-6 6-2、攻撃的なテニスで押し切った。シフィオンテクのほうが少し調子が悪くてミスが多かったのはあるけど、それでも芝でシフィオンテクに勝つのはすごい。女子はここまで上位陣が軒並み負けていて、しかも4回戦の大坂とサバレンカの潰し合いは大坂が制した。そう考えると、イアラあたりにも優勝のチャンスすら出てくるかもしれない。イアラのベスト16の相手はパオリーニ(7/6)。
注目選手の現況(07-06時点):
シナー: ベスト8進出(4回戦 ○望月)。準々決勝は 7/7 vs シュトルフ
ジョコビッチ: ベスト8進出(○サフィウリン)。準々決勝は 7/7 vs オジェアリアシム
ズベレフ: 4回戦(7/6 vs レヘチカ)
デミノー: 4回戦(7/6 vs コボリ)
ブブリク: 4回戦(7/6 vs フリッツ)
ディミトロフ: 4回戦(7/6 vs フェリー)
敗退: メドベージェフ(3回戦)、フォンセカ(3回戦)、ホダル(3回戦・●望月)、ティエン(2回戦)、メンシーク(2回戦)
今週の日本人男子
望月慎太郎(男子S・予選勝ち上がり): ベスト16。4回戦敗退(●シナー 3-6 6-7 3-6)
島袋将(男子S・本戦直接): 1回戦敗退(●J.ファリア)
坂本怜: Wimbledon予選決勝敗退→ケーリー・チャレンジャー2回戦敗退(●ルグー)
野口莉央: Wimbledon予選1回戦敗退(●L.ナルディ)
内田海智: Wimbledon予選1回戦敗退(●B.トミック)
柚木武(男子D): 1回戦敗退(●Buse/Trungelliti 4-6 7-6 6-7)
望月: 1回戦 6-3 6-0 6-0、2回戦 E.クイン に 6-2 7-6 7-5、3回戦 ホダル に 1-6 7-6 6-4 6-4、4回戦 シナー に 3-6 6-7 3-6。
望月はここ数年、なかなか100位以内に定着できないけど、いちばん得意な芝で、ついに大きな結果を出した。3回戦でホダルに勝ってベスト16。第1セットを 1-6 で落としたところから 7-6 6-4 6-4 とひっくり返しての勝利。ホダルが前日にカレーニョブスタとフルセットを戦って疲れていたのもあったかもしれないけど、それでもこれはすごく大きい。相手のホダルはまだ19歳だが将来のナンバーワン候補を争っている選手。そこに勝ったのがデカい。芝が、望月の持ち味であるネットプレーのうまさを引き立てているのは大きい。ベスト16の相手は前年王者で世界1位のシナーだったが、さすがにストレートで負けた。けど、3-6 6-7 3-6 ならば十分善戦。サーブ力とストローク力にはだいぶ差があったなかで、望月はだいぶ頑張っていた。この経験が本当に、今後の芝以外のサーフェスにつながるといいな。
坂本怜は予選決勝が惜しかった。ファリアに1セット取ったが 6-7 6-4 3-6 4-6。サーブがいいから芝も合いそうなんだけど、あと一歩で本戦に届かず。でもそこで腐らずに、すぐアメリカのケーリー・チャレンジャーへ回って1回戦を勝った。ただ第1シードだったけど2回戦でルグーに 4-6 3-6 で負けて去年のポイントを守れなかった。
ウィンブルドンで負けた選手たちは、そのまま下のカテゴリーの大会に散っている。ケーリー・チャレンジャーは日本勢が固まっていて、綿貫陽介・坂本怜・清水悠太・内田海智・野口莉央・松岡隼と、本戦だけで6人いた。いちばん勝ち上がったのは綿貫で、準々決勝を 6-1 6-4 で取ってベスト4。ただ、準決勝が不戦敗になってしまった。棄権の理由は今のところ不明だけど、綿貫はちょっとランキングが上ってくると怪我で離脱が多くてもったいない。そろそろ年齢的にも余裕がなくなってくるからなー。清水は予選を2つ勝って本戦に入ったけど、1回戦で第5シードのモーに 6-7 6-7。両セットともタイブレークの惜しい負けだった。内田・野口・松岡は初戦負け。
国内では東京・有明の ITF M15(BLUE SIX OPEN)。磯村志がベスト8まで行って、準々決勝で第3シードのジョーンズに 6-3 4-6 1-6 の逆転負け。白石光は第5シードで入ったけど、2回戦で今井慎太郎に 1-6 1-6。中川直樹・松田龍樹・本田尚也は初戦で敗れた。ダブルスは小倉孝介が羽澤慎治と組んで第2シードで決勝まで行き、第1シードの楠原悠介/中川舜祐ペアに 3-6 6-7 の準優勝。シングルスの決勝には日本勢は残れなかった。
柚木武は、残念ながらウィンブルドン男子ダブルス1回戦をフルセットで落とした。4-6 7-6 6-7、ファイナルセットをタイブレークで取られる惜しい負け。グランドスラムのダブルスに出られるところまで来たのは大きいけど、あともう一声ポイントを稼いで、この舞台に定着できるか。
西岡良仁も今週はいない。今年は2月あたりから左肩と左膝の状態が悪いみたいで、ずっと試合に出られていない。全仏もウィンブルドンも欠場で、ランキングも174位まで落ちてきた。復帰の時期もまだはっきりしない。多分ある程度体を万全にしてハードコートシーズンから復帰するつもりなんだと思っているが。
今週の日本人女子
大坂なおみ(女子S): ベスト8進出(4回戦 ○サバレンカ 6-2 7-6)。7/7 vs ムホバ
伊藤あおい(女子S): 1回戦敗退(●ヤストレムスカ 6-7 6-4 5-7)
日比野菜緒: Wimbledon予選2回戦敗退(●セメニスティア)→エルヴァス(ポルトガル・ITF)ベスト8
本玉真唯: Wimbledon予選2回戦敗退(●クルーガー)
内島萌夏・坂詰姫野・石井さやか: Wimbledon予選1回戦敗退
山口芽生: ケーリー(米・ITF)ベスト16
青山修子(女子D・Liang組): 3回戦(ベスト16)進出。7/6 vs 謝淑薇/王欣瑜組
穂積絵莉・加藤未唯・二宮真琴(女子D): 各1回戦敗退
大坂: 1回戦 6-1 7-5、2回戦 6-3 6-2、3回戦 カサキナ に 6-1 6-3、4回戦 サバレンカ に 6-2 7-6。次はベスト8でムホバ(7/7)。
大坂は最近調子がいい。ここまで3試合とも危なげなくて、芝との相性も良さそう。これは今回、本当に優勝まであるかもしれない。ただひとつ気になるのが、直前のバート・ホンブルクで、自身初の芝の決勝まで行ったのに右足首をやって途中棄権していること。足がどうなのかは、ちょっと不安が残る。ベスト16でいきなり世界1位のサバレンカと当たるのは早いけど、ここを勝てれば一気に波に乗れそうだ。そして、本当に勝ってしまった。世界1位相手に 6-2 7-6 のストレート。試合は見事なしばき合いで、見ていて面白かった。これで本格的に優勝のチャンスが見えてきた。
伊藤あおいは、スライスを使うから芝は合いそうにも見えるんだけど、フットワークにちょっと難がある。逆を突かれるとバランスを崩して転びがち。ハードでもコロコロ転ぶくらいだから、芝みたいな不安定なサーフェスだとなおさらで、この試合でも何度も転んでいた。今回は去年の全米での腰の疲労骨折から復帰した流れで、プロテクトランキングを使って本戦入り。1回戦は世界67位のヤストレムスカ相手にマッチポイントを4本も握りながら、6-7 6-4 5-7 で取りきれずに負け。グランドスラム本戦初勝利はまたお預けになった。でも相変わらず見ていておもしろい試合だった。これからハードコートシーズンだし、そこでまた順位を上げてほしい。
女子ダブルスはほとんど見ないんだけど、青山修子のペアが最近調子いい。今回も1回戦、En-Shuo Liang(チャイニーズタイペイ)と組んで、ファーストセットを5-7で落としたところから 6-2 6-2 の逆転勝ち。柴原と分かれてからは、なかなか相性のいい相手が見つからなかった感じだったけど、今のペアはいい雰囲気っぽい。2回戦のビレル/ギブソン組戦も、第1セットを落としてから 5-7 6-0 6-3 の逆転勝ちで、2試合連続の逆転勝ち。やっぱりポーチがくそうまい。3回戦は謝淑薇/王欣瑜組と(7/6)。ちなみに穂積絵莉・加藤未唯・二宮真琴の各ペアは1回戦で敗れた。
若手で気になっている園部八奏は今回もいない。去年、全豪ジュニアを勝って一気に順位を上げてきて、これからってところだったのに、去年の暮れ(12月31日)に左脚の手術を発表してから、ずっと出てきていない。手術の細かい部位は本人からは公表されていないけど、左膝の前十字靭帯の断裂と伝えられていて、だとすると戻るまでけっこうかかる。全豪も欠場で、今年はまだ一試合も出ていない。乗ってただけにもったいないけど、まあまだ若いから。
先週/来週の主な大会
来週(7/7〜): ウィンブルドン継続(準々・準決・決勝)
今週(男子): 野口莉央・内田海智が米ニューポートのチャレンジャー(芝)本戦に繰り上がりで入った。松岡隼は予選決勝進出。清水悠太はカナダの ITF M25 ラバルに第2シードで出場。ダニエル太郎はルーマニアのヤシ・チャレンジャーへ
今週(女子): 内島萌夏はバスタド(スウェーデン)へ。石井さやか・山口芽生は米ニューポートの WTA125(芝)へ。東京・有明では ITF M15 の第2週も開催
注目選手のランキング動向(7/6時点)
ランキングもざっと見ておく。live-tennis.eu のライブランキングの暫定値。
望月慎太郎: 115位(+36)。予選勝ち上がりからのベスト16で +150ポイント。今週の日本勢いちばんの上げ幅
大坂なおみ: 13位。サバレンカ戦の勝利で +300ポイント。勝ち進めばまだ上がる
松岡隼: 342位(+4)で自己最高を更新中
デミノー: 5位(+1)。ティエンも15位(+2)で自己最高を更新
ジョコビッチ: 10位(-2)。ライブではぎりぎりトップ10
下げた組: 島袋将 95位(-5)、坂本怜 159位(-9)、伊藤あおい 243位(-15)、白石光 486位(-24)
大きく下げたのは 柴原瑛菜 473位(-69)、園部八奏 627位(-90)、石井さやか 866位(-179)
なんだかやたらと長くなったけど、多分来週以降はもうちょっと短くできるかな?