パーフェクトボディのポーズと笑顔
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ディーン・フジオカを見るたびに、あれ、この人は学歴詐称で消えた人ではなかったか、と思う。
違う。
それはショーンKである。
ここまでは毎回たどり着ける。ディーン・フジオカはディーン・フジオカであり、ショーンKではない。そもそも経歴詐称で消えたわけでもない。完全にもらい事故である。
ただ、私の脳内検索ではなぜかこの二人が近いところにいる。
国際派っぽい。名前がカタカナ。顔が濃い。声が落ち着いている。スーツが似合いそう。そういう雑なタグで人間を分類しているのだと思う。雑である。人間の記憶検索は雑である。
さらに、ディーン・フジオカについては、タトゥーがあるから出演時にそれを隠すのに気を使っている人、という謎の覚え方もしている。
これも本人の活動や演技とはほとんど関係ない。関係ないのだが、そういう枝葉の情報ほど脳に残る。ドラマの役名や曲名はすぐ忘れるのに、右腕のタトゥーを隠しているらしい、みたいな情報だけがなぜか残る。脳のメモリ管理は信用できない。
そしてショーンKである。
ショーンK。本名は何だったっけ。ショーンKが本名なわけはないよな。ショーン・マクアードル川上が本名なのか。いや、それも芸名っぽい。
調べると、本名は川上伸一郎らしい。
川上伸一郎。
急に普通の名前になる。もちろん普通の名前であることは何も悪くない。むしろ本名というのは普通そういうものだ。ただ、ショーン・マクアードル川上から川上伸一郎に戻ると、情報量の落差が大きい。
さらに思い出す。ショーンKという名前を聞くと、私の脳内ではなぜかショーン小杉が出てくる。
ショーン小杉とは誰だ。
たぶんケイン・コスギである。あるいはショー・コスギである。親子である。ショーンKからショーン小杉へ行き、ショーン小杉からショー・コスギへ行き、そこからケイン・コスギへ行く。
ここまで来ると、ディーン・フジオカはもう関係ない。
このままだと、ただ自分の人名記憶が雑だという話で終わってしまう。まあそれでもいいのだが、せっかくなのでショーンKの現在を少し調べてみた。
すると、2026年に「ショーン川上」名義で英語学習書を出しているらしい。
え、復活していたのか。
SmartFLASHの記事によると、2026年3月に『英語力の核心』という本を出している。Amazonにもページがあり、著者名はショーン川上になっている。ショーンKではなく、ショーン川上。Kが取れた。マクアードルも取れた。だいぶすっきりした。Amazonレビューを見てみると結構評判がいい。
ショーンKの騒動について、私の記憶はだいぶ雑だった。ハーバードMBAなどの経歴が問題になって、出演予定だった番組を降板した人、くらいの理解で止まっていた。テレビでよく見た人が急に消えた、くらいの記憶だ。
でも、調べ直すと少し印象が変わる。もちろん経歴を盛っているのはよくない。そこは擁護できない。ニュース番組や経済番組で肩書き込みで信頼されていたなら、なおさら問題だ。
一方で、声や話し方や英語力のような、本人の芸として成立していた部分まで全部がなかったわけでもなさそうだ。そこが少しややこしい。
ショーンKは、学歴を盛らなければ、普通にテレビのコメンテーターとして優秀そうだった気もする。実際にちゃんと聞いたことはない。ないのだが、あの声と落ち着いた話し方だけで、テレビの中に置かれたときの説得力はかなりあったのだろうと思う。
経歴は怪しい。しかし、声は本物だった。英語もそれなりに本物だったのかもしれない。話し方の説得力もあった。肩書きのラベルはまずかったが、本人のキャラの強度はあった。
つまり、全部が偽物だった人、というより、設定を盛りすぎた人だったのだろう。
ここで少し天邪鬼なことを考える。
テレビのコメンテーターというのは、かなり芸人に近い仕事なのではないか。短い時間でそれっぽく話す。声がいい。見た目に説得力がある。番組の空気に合う。司会者が振った話題に、ちょうどいい温度のコメントを返す。そういう総合芸で成り立っている部分がある。
だとしたら、経歴を持っているところまで含めてキャラ設定だった、という言い方はできないのだろうか。テレビのワイドショーとかどうせモキュメンタリーと紙一重じゃん。みんな自分の配役に合わせて自分が思っていないことだって言っているんでしょ(偏見)。
だいたい、みんな普段は「人を肩書きで見るな、中身を見ろ」みたいなことを言う。ではテレビ局はショーンKの中身を見て採用していたのか。それとも、ハーバードだのMBAだの経営コンサルタントだのという、見栄えのいい肩書きを番組の飾りとして使っていたのか。
もし中身を見ていたのなら、経歴が違っていました、でも話はうまいので引き続きコメンテーターとして出てもらいます、でもよかったはずだ。実際にはそうならなかった。ということは、テレビ側もかなり肩書きを見ていたのではないか。
経歴を盛った本人は悪い。そこは悪い。ただ、その盛られた経歴をありがたがって使っていた側も、なかなか軽薄だ。
だからこそ、ショーン川上名義で英語学習書を出す、という現在地は少し面白い。経歴で勝負するのではなく、英語や話し方で勝負するなら、それはそれで筋が通っているようにも見える。
参考: ショーンK「経歴詐称」報道から10年 “英語教育本” で復活も… / 英語力の核心 / ディーン・フジオカのタトゥーに関する記事
さて、ここでようやく元の話に戻る。
ディーン・フジオカを見て、ショーンKを思い出す。
ショーンKを調べて、川上伸一郎にたどり着く。
川上伸一郎を調べて、ショーン川上の英語学習書にたどり着く。
そこからなぜかショーン小杉が出てくる。
ショーン小杉からショー・コスギへ行き、ショー・コスギからケイン・コスギへ行く。
そして最後には、ケイン・コスギがパーフェクトボディのポーズで立っている。
人間の記憶はあまり信用できない。
少なくとも、私の記憶はあまり信用できない。
ディーン・フジオカには、何の関係もないところに着地した。
パーフェクトボディのポーズ。脳内再生余裕。