スマホのようなクルマのサ終
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[みんなのケータイ]アプリもAIも終了した「Honda e」、「スマホのようなクルマ」の切ない現実
この記事を読んだ。
ホンダですらこれなのか。いや、ホンダだからこれなのか。
Honda eは、発売当時かなり未来っぽいクルマだった。EVで、見た目もかわいく、車内には大きなディスプレイがあり、アプリを入れられて、AIアシスタントに話しかけることもできる。スマホのようなクルマ、という言い方はたしかにしっくりくる。
私は買おうとは思わなかった。航続距離や価格を考えると、自分の生活用のクルマとしては選びにくかった。
ただ、興味はあった。レンタカーで扱っているところがあれば、一度くらい借りて乗ってみたいと思っていた。ああいう未来っぽいクルマは、自分で所有するとなると急に現実の計算が始まるが、半日借りて試すだけならかなり楽しそうだ。
しかし記事によると、その未来っぽい機能が順番に終わっている。2023年にアプリストアが終了し、2024年にAIアシスタントが終了し、2026年には車内Wi-Fiも終了したらしい。
なかなか厳しい。
故障はまあしょうがない。機械なので壊れることはある。5年も使えばどこか不具合が出ることもあるだろう。
でも、サービス終了はちょっと違う。最初から未来っぽさとして売っていた機能が、車体より先に終わっていく。クルマはまだ走るのに、売り文句だったIT部分が先に消えていく。
これはつらい。
日本メーカーは、車体を長く面倒見る文化はあると思う。少なくとも、壊れた部品を交換して、車検を通して、十年単位で乗る、という前提はある。もちろん部品供給の問題はあるが、基本的にはクルマは長く使うものとして扱われている。
一方で、ITサービスを十年単位で継続運用する文化は弱いように見える。
アプリを作る。通信機能を入れる。音声アシスタントを入れる。そこまではできる。しかし、それを車種ごとのおまけ機能として作ってしまうと、販売台数が少なかったときに維持できない。ユーザー数が少ないから終わります、となる。
でもクルマでそれをやられると困る。
スマホなら、まあ数年で買い替える。アプリが終わっても、OSが古くなっても、端末ごと買い替えることが前提に近い。
クルマはそうではない。5年ローンを組む人もいるし、10年乗る人もいる。中古で買う人もいる。そういうものにスマホ的なサービス寿命を載せると、どうしても無理が出る。
やるなら、Honda e専用の未来機能ではなく、ホンダ全体の車種にまたがる長期サービスとして設計する必要があったのだと思う。全車種で使う。長く維持する。通信規格が変わっても移行する。そこまで考えて初めて、クルマにITサービスを載せる意味がある。
それができないなら、最初からやらないほうがよかったのではないか。
そういえば、うちのN-BOXのinternaviも3G SIMの期限切れで使えなくなっている。別に今すごく困っているわけではない。スマホのナビで十分だし、むしろ専用ナビよりスマホのほうが便利な場面も多い。
ただ、そういう経験をすると、メーカー運用の通信ナビや専用サービスを信用しなくなる。
もう次にクルマを買うときは、メディアレシーバーとスマホ連携でいい。CarPlayやAndroid Autoが普通に使えればいい。メーカー独自の気合いの入った未来機能は、ちょっと身構える。
日本メーカーはEVに強いとは言いにくい。そしてITサービスにも強いとは言いにくい。そういう会社が、テスラのようなことをやろうとしても、なかなか長続きしないのだろう。
テスラは、EVを作っているだけでなく、ソフトウェア更新や通信サービスを前提にした会社として動いている。もちろんテスラにも問題はあるし、サービスが永遠に続くわけではない。それでも、クルマをITサービスとして運用する覚悟は、日本メーカーより強いように見える。
中国EVはどうだろう。
BYDのような大きなメーカーなら、ITサービスの運用力もかなりありそうだ。一方で、中国EVメーカーは淘汰も激しい。新興メーカーの場合、サービス以前に会社そのものが残るのか、という不安がある。
日本メーカーは、クルマ本体は残るがサービスが先に終わる。中国の新興EVは、サービスは元気そうでも会社が先に終わるかもしれない。
どちらも困る。
結局、スマホのようなクルマを作るなら、スマホの便利さだけでなく、スマホの面倒くささも引き受ける必要がある。アプリ、通信、ログイン、サーバー、課金、更新、セキュリティ、サポート終了。その全部がクルマの一部になる。
そこまでやる気がないなら、クルマはクルマとして作ってほしい。
未来っぽい機能が欲しくないわけではない。むしろ欲しい。乗る前にエアコンを入れられるのは便利だし、ソフトウェア更新で機能が改善されるのもいい。
でも、それを売りにするなら、ちゃんと長く面倒を見てほしい。
「スマホのようなクルマ」は魅力的な言葉だ。
ただし、スマホのように数年でサービスが古くなるクルマは、あまり嬉しくない。