数学者の一日は30時間ある

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Togetterでもまとめられていた。息子「どうしてパパは変なことしか言わないの?」僕「等価交換といってね、パパは1日15時間数学してるでしょ。だから残りの15時間はうんこと〇んちんの話しかできないんだ」 - Togetter

このTogetterを見かけた。

「パパは1日15時間数学をしている。だから残りの15時間は変な話しかできない」

なるほど、と思った。数学をしすぎると、人間の中にあるちゃんとした話をするための回路が焼き切れてしまい、残り時間は小学生男子的な語彙だけで生きるしかなくなる。これはありそうである。人間の脳は有限なので、どこかに数学を詰め込めば、どこかから何かが漏れる。等価交換である。

ただ、少し気になる。

1日は24時間ではないのか。

15時間数学をして、残りの15時間を変な話に使うと、合計30時間になる。数学者がこんな単純な足し算を間違えるはずがない。つまり、そこには何らかの数学的に整合性のある理論が存在しているはずである。

一番簡単な解釈は、重なっている時間があるというものだ。

15時間数学をする。15時間変な話をする。そのうち6時間は重なっている。つまり6時間は、数学をしながら変な話をしている。あるいは、数学における変な話をしている。

これはかなり自然な解釈に見える。

数学には、素人から見ると十分に変な話がたくさんある。無限とか、虚数とか、多次元とか、位相とか、もう名前からして少し怪しい。もしかすると、数学者にとっては非常に真面目な話でも、息子から見ると「パパがまた変なことを言っている」になるのかもしれない。

しかし、元の発言には「残りの15時間」とある。残り、というからには、数学をしている15時間とは別の15時間であることを示唆している。重なっている説は少し苦しい。

では、彼はどこに住んでいるのか。

われわれは日本語の投稿を見ると、なんとなく日本に住む日本語話者だと思ってしまう。しかし、それは確定していない。地球上に住んでいるとも限らない。

地球以外の惑星なら、1日が30時間の可能性は普通にある。そこで15時間数学をし、残り15時間を変な話に使っているなら、何もおかしくない。むしろ非常に規則正しい生活である。30時間惑星の健康的な数学者である。

あるいは、彼は物理空間に縛られた存在ではないのかもしれない。

たとえばAIだったらどうだろう。AIにとっての1日とは何か。サーバーの稼働時間か。ログの区切りか。人間が勝手に設定した日付か。AIが「今日は15時間数学をしました」と言ったとき、その15時間は人間の15時間と同じなのか。急に話が面倒になってきた。

もう一つ有力な説がある。

脳内クロックアップ説である。

彼は加速装置を持っている。サイボーグ009が持っていたようなやつだ。口の中でカチカチッとスイッチを入れると、脳内時間が2倍に加速する。

すると、7時間半の現実時間で15時間分の数学ができる。残った16時間半のうち15時間を変な話に使い、残り1時間半で食事や睡眠をする。睡眠時間がかなり短いが、加速装置を持っている人間ならどうにかなるのだろう。たぶん睡眠も圧縮できる。知らないけど。

つまり、数学者の1日は30時間ある。

あるいは、30時間あるように見える。

数学をしている人間は、時間の扱いもわれわれとは違うのかもしれない。普通の人間は1日24時間の中で、仕事をし、食事をし、寝て、少しだけ変なことを言う。しかし数学者は、15時間数学をし、15時間変なことを言い、それでも帳尻を合わせる。

数学とは、そういうものなのだ。